嫌いなあなたと
世の中の嫌なニュースや、マスコミが連日騒ぎ立てるような耳障りな騒動は、耳を傾けなくても、嫌でも聞こえてくることがある。本当に知りたいことはそんなことではないし、もっと小さな声に耳を傾けたい。
特に、政治の話はうんざりだ。
相手の論理の弱点を突いて、揚げ足を取ることばかりを考えて、本当に大切なことを話せる気がしない。
そうして争ううちに、人は悪いことに手を染める。
大きな声が正しくて小さな声は間違いで
お前もそんな風に聞かされてきたひとりかい?
人は小さな声にほど耳を傾けもするけれど
そんなことは一瞬で飽きてしまう生き物さ
嫌いなあなたと話そう
私が嫌いなあなたと
分かって、笑ってほしくて
話そう、大きな声で
知りたいことがあるの
痛くてめんどくさいけれど
あなたを知りたいから
話そう、大きな声で
大きな声にかき消され
小さな声はなきものに
されることを知ってるから
慣れない大きな声で歌う
長谷川健一 『きらいなあなたと』
嫌いなあなたと、大きな声で話そう。
誰かを論破するためではなく、相手を黙らせるわけではなく。
本当に分かり合えることは、ほとんどないかもしれない。
でも、大きな声で話そうとしないと、小さな声はほんの些細なことでかき消されてしまう。
小さな声を守るために、誰かに届けるために、慣れない大きな声を出そう。
長谷川健一のうたうこの歌詞は、本当に分かり合えなくても、小さな声を守りたい、という静かな熱を帯びている。
きらいなあなたと、ちゃんと話せるだろうか?
とても勇気の要ることだし、心がズキズキすることもあると思う。
それでも、話そう。そうすることでしか、守れないものがたくさんあるのだから。
少しだけ心を強くしてくれる、良い歌に出会った。
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