長野・善光寺を歩く
先日、所用があって、長野まで行くことになった。
善光寺のすぐ近くに、宿を取ったこともあり、せっかくなので善光寺参りをした。
善光寺周辺は、とても整った町並みの門前町だ。
ここ10年ほどにかけて、古い蔵が改装されたり、リノベーションされた総合施設ができたりと、意欲的に整えていった過程が窺える。
7年ほど前に訪れたとき、すでに非常に整っていたが、ますます観光客にとって優しく、洗練されたように感じた。
その7年前、ちょうど周辺のまちづくりが最も盛んだったころに、できたゲストハウスが、今回泊まった1166バックパッカーズ(http://1166bp.com/)だ。
古民家を改装した部屋の中は、ところどころ手作りの直しの跡が見られ、素朴で暖かい印象がある。到着した夜はとても寒かったので、静かな音楽が流れ暖かい灯りに包まれた共有スペースにとても癒された。
宿泊した外国人の一人が、掲示板に自国のお札を貼ったところ、次々と旅行客が真似をして一面各国の通貨になった一角がある。
旅人どうしのさりげない交流の一場面が見えて、なんだか楽しい気分になる。
到着した夜は、4組ほどの宿泊客がいた。皆、日本人だった。自然とビールを片手に話をしてゆっくりと過ごす。ゲストハウスの醍醐味だ。
窓の大きいこの家は、朝の光がとてもきれいに射し込んでくる。
やはり静かなこの場所で、朝ごはんを食べる。朝の散歩がてら、近所のパン屋さんまで歩く。焼きおにぎりの入ったパンなど、変わったパンのたくさん置いてあるモリタベーカリー。店主のおじさんが、これは面白そう、と考えて作っているのかと思うと可笑しくなる。
宿のスタッフが作った、とても丁寧な地図がある。店の入れ替わりも多い中、最新の情報をこうしてまとめてくれているのがありがたい。地図を片手に、様々な店のひしめく門前町を歩くことができる。
善光寺の本殿までの参道は、緩やかな坂になっていて、真っ直ぐだ。ずっと本殿は見えているのだけど、門をくぐるたびに次第に大きくなっていくので、わくわくする。左右にはお土産屋さんがさまざまに立ち並んでいる。
大きな門にある仁王像の前に、たくさんのわらじが掲げられている。ここまで、長旅で歩いてきた健脚の旅人の、安全・無事を祈願し、御礼に奉納するものだと言われている。仁王像の前に掲げるのには、彼の魔除けの力を借りる意味があるそうだ。
仁王像を堪能したあとに門をくぐり、こちらでお線香を上げる。小さな娘は、こうした一つ一つに興味津々だ。
ちょうど、桜の咲く季節でもあった。
まだ、寒さの続いた日が多かったため、3分咲きといったところか。
おやき、そば、ご当地の名物を食べて、門前町を散策する。
参道のすぐわきの道を行くと、小さな雑貨屋さんがあった。
シンプルで、なつかしい小さな雑貨がたくさん置いてあって、楽しい。
善光寺、といえばお戒壇めぐり、という真っ暗闇の本殿の下を進むお参りが有名だが、子連れということもあって、今回は見送った。信心のまるでない僕は、これで極楽浄土に行けるとは思っていないけれど、暗闇の中を手探りで進み、ご本尊の鍵に触れるという体験は、神秘的で面白い。
善光寺は、凛とした雰囲気が漂う寺だ。その清々しさは肌で感じることができる。
霊験あらたかなこの感覚は、ふだん全く感じないものだからこそ、暗闇の中で感性を高めてよりありがたいものになるのかもしれない。
善光寺を後にして、所用を済ませる。
これから、また帰るまでの長旅だ。
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