娘とお父さん












自分のことを子どもに全て話すようにいる。





お父さんは、お仕事をしていない。





お父さんは、いま病気でお仕事ができない。





お父さんは、ときどきひどく気分が落ち込んでしまう。





そうなると、気持ち悪くなったり、頭が痛くなったり、眠くなったりする。





だから、昼間でも、眠ってしまうときがある。





週に一度、お医者さんに通って、診てもらっている。





家にいて、ごはんを作ったり、掃除をしたり、お迎えに行ったりする。





外で働いているのは、お母さん。中で働いているのが、お父さん。









一応、子どもなりに分かってくれている、と思う。



「ちょっと今しんどい」と言うと、「病気だからしょうがないね」と言ってくれる。





「大丈夫?わたしみたいにごはんいっぱい食べればいいんだよ」と。





主夫であること、うつ病であること、自分が弱いこと、ふつうの家とはちょっと違うかもしれないことを、気にせずに娘に話すことができて良かったと思っている。





坂口恭平さんは『家族の哲学』のなかで、躁うつ病である自分のことを、子どもたちにさらけ出している。



それを見て、ああこれでいいんだ、と思った。



















今度、少しだけ、アルバイトをすることにした。





そのことを娘に話すと、「おしごと行くの?がんばって!」と言ってくれた。



「ネクタイするの?かっこいいよ」と、自分のことのように嬉しそうに。





ずっと家にいるお父さんは、やっぱり少し嫌だったのかもしれない。



娘なりに、いつもいっぱい気にかけてくれているのだ。





がんばろう。無理だったら、ごめん。





















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