出町座で会いましょう












出町座で会いましょう







京都の出町柳駅から、徒歩数分。出町柳商店街に新しい映画館ができた。





京都はとても文化的な街だ。





古くからの文化があるのが言うまでもないのは勿論、大学が多く旅行客も多いこの街は、若い人も、旅人もいろんな人が入り混じってその跡を残し、住みついた人たちはその多種多様な文化を地のものにする。





そうして混沌とした雑種なカルチャーが残っているのが、この左京区周辺だ。



だいたい変わり者が多い。





そんな左京区らしい、小さな映画館が、立誠小学校の跡地から引っ越してきた。














出町座はその起ち上げ資金をクラウドファンディングで集めている。僕も一株買っている。その返礼の特典は出資額以上のものだけれど、当座の資金繰りのほうが重要なのだ。





出来て数か月経つが、ようやく行くことができた。京都は近いようで遠い。









パーティで女の子に話しかけるには







そんなタイトルの映画を見た。



1970年代のイギリスが舞台の、少し気弱な青年が、『とある事情』で数日しか滞在しない女の子と出会い、最高にパンクな恋をする映画だった。










ストーリーはありふれているのに、内容はSF色が強く、音楽はパンクロックで、舞台は英国スラムの荒廃とした、しかし抜群に美しく映える場所で。いろんなものが入り混じっているのに、ひとつにまとまってし面白さがある映画だった。



ミニシアターでないと味わえない独特のカルチャーを楽しめる。そんな映画。





映画の待ち時間に本と珈琲を







出町座の一階は、ブックカフェになっている。



中央にカウンターキッチンがあり、その周りを本が囲んでいる。



映画を待つ間、本に囲まれた空間で、ゆっくりとコーヒーを飲むことができる。



もちろん、妨げないほどの程よい音楽も流れている。





思えば、そんなふうに映画館とブックカフェが一緒になった空間はあまり見たことがない。



とても相性のいいもののはずなのに。





本屋も、またいい塩梅にセレクトされた本たちが並んでいる。出町座に足を運ぶ人なら、きっと目に留めてしまうだろう本たちだ。そしてコーヒーと落ち着いた時間があれば、その誘惑に負けてしまう。














京都の有名書店である恵文社のある一条寺にも、ずっと昔、京一会館という映画館があった。



ずいぶん前に、その近くの喫茶店で当時の映像を見せてもらったことがある。





小さな映画館はすぐに潰れてしまう。それは他のどんな文化的な店でも同じだ。書店もレコードショップも、実生活からほど遠いものから、消えていく。





本当は映画も本も音楽も、なくてはならないものなのに。





だから、こうして新しくできた場所を大切にしたい。



なくてはならない大好きなものにたっぷりと浸ることのできる場所を。



こういう場所を守れるのは、変わり者の集まった雑多な京都の文化にちがいない。











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