豊島のこと
小豆島二日目
今日は、豊島に渡る日。だけど、小豆島のことをもう少し。
土庄の町。小豆島のなかでも賑やかな匂いのする街だ。このあたりでは、体感型の家を丸ごとつかったアートが楽しめる。この「目」の代表作もその一つ。たばこ屋さんの中に入ると、不思議な体験ができる。
ほかにも、角を徹底的に無くした丸い家など、子どもも楽しんで感じられるものが多いので、子連れでもオススメする。
子連れアート
子連れでアートを楽しむのに、抵抗を感じる人は多い。静かな美術館で騒がないか、子どもは退屈しないか、そもそも理解できるのか。こうした芸術祭であれば、体力面での心配もある。
でも、意外と子どもはその場その場での空気を感じ、自然と立ち居振る舞いを合わせてくれる。そこにある作品を、体で感じ取ってくれるのだ。そして、もしうまく感じ取れない子どもが退屈にならないようにするために大切なことは、大人がいっぱい話しかけてみることだと思う。
そのことを一番実感したのが、豊島美術館だ。
豊島へ
豊島でのメインは豊島美術館だった。メインの作品は撮影禁止のため、ここにはギャラリーショップの写真を掲載する。十分雰囲気が伝わると思う。
半円形の建物の中で、とても静かに少しずつ水が湧き出て、それが地面をつたい、流れる。
鑑賞者は、寝そべったり座ったりして、それらをじっと見つめる。あるいは水の音、風の音に耳をそばだてる。大きく開いた窓から射す光を追う。
ただ、それだけの場所なのに、自分の内面に入り込んだような、別世界に入ったような感覚に嵌り、そっといつのまにか目を閉じて建物に身をゆだねている。
さて、娘は、と思えば、すぐに理解したようで、寝そべってずっと小さな水滴の行方を追ったり、ただただ静かに目を閉じたりしていた。
この美術館の目の前の海に続く坂道が好きだ。大きな海しか目に飛び込んでこない。そのまま下って飛んでいきそうな道だ。
民泊
豊島の海は、とても穏やかできれいだった。この日は、民泊をする予定で、島のおばあとおじいの住む家にお邪魔して一泊する。教えてもらった浜は、人もいなくて静かな終着点のようだった。
民宿の家では、ところてんを作らせてもらった。じつは、この道具使うのは初めてだ。
大工をしていた主人の手作りの道具らしい。
よく見ると、家のあちこちに手作り感のある、しかし頑強な棚がたくさんある。屋根裏部屋もあり、それも自分で作ったのだとか。見せてもらうと、往年の荷物が渦高く積まれていた。どこにも行かないその荷物は老夫婦と一緒に、年を取っていく。
民宿では、朝ごはんを一緒に作ったり、野菜を採りに出かけたり、娘にとっても貴重な体験をさせてくれた。旅の良い出会いになった。
町とアート
アートは、面白い。誰もしないようなことをしてくれるのがアーティストで、それを見るのが面白い。細かい技法や系譜は分からなくても、なんだろう?と思いながら、作品を見ることができる。
古い建物のガラス戸や障子戸などを集めて巣のような入り口を作った作品があった。
集落から集められたというこの戸は、これだけ多くの空き家がいま生まれているという記憶の一つでもある。でも、その一つ一つに映る空や田んぼの稲も、とてもきらきらしている。
一人の芸術家が町に入っても、できることは少ない。でも、その独自のやり方で、だれもしないような面倒な作業を経て、町の記憶を残し、人を呼んでいる。
やっぱり、面白い。その面白さを純粋に楽しむ側でいたい。
2泊3日の旅だったけれど、二つの島をそれなりに楽しむことができた。娘も楽しくついてきてくれた。
何をみても、どこに行っても、ふだん見かけない面白いものがたくさんあったからかもしれない。
どちらも豊かないい島だと思った。また機会があれば訪れたいし、ときどき写真を見て思い返したい。
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