アニメと母
ドラえもん、サザエさん、ちびまる子ちゃん、クレヨンしんちゃん。
古参のアニメに登場するお母さんは、みんな専業主婦だ。
少し怒りっぽくて、少し地味で、でも温かい料理を作って家にいてくれる温かいお母さん。
しかし、なぜか設定された年齢以上に老けてみえるのはなぜだろうか。
保育園や地域の行事、職場などで出会う「お母さん」たちは、そうじゃない。どこか雰囲気が違う。
パートも含めればお母さんの半分以上は、いまや働くお母さんだ。
専業主婦のお母さんですら、社会的な活動に参加する人も多い。
母たちの外に向いている姿は、古いアニメにはあまり描かれない。
自分のなかでも「お母さん」のイメージを修正するのに時間がかかったように、子どもにとってもそれは同じだ。
古いアニメが今も同じように流され、同じようにアニメのなかの「お母さん」が一般的なお母さんだと思ってしまう。
でも、自分が関わる世界によって、それは全然違ってくるのだ。
いま、娘が見ているアニメは「プリキュア」だけだ。
1年ごとに新しいシリーズが始まるこのアニメは、「プリキュアに変身する」という共通点だけを残して、世界観が刷新される。
新しい「今」を描くストーリーは、子ども向けながらも現実を生きるためのテーマを与えてくれる。
今作のヒロインのお母さんは、海外で働く医師だ。
第一話は、帰国するはずの母が急患によって帰ってこれなくなるという「母の不在」から始まる。
前作も、前々作も自営業とはいえ、働く母の姿がそこにある。そして、明らかに若々しく描かれる。
長年、女の子のためのヒーローものとして丁寧に練られたアニメは、女の子に憧れだけじゃなくきらきらとした現実も見せてくれているのかもしれない。
女の子は、魔法使いにもなれるし、働くお母さんにもなれる。
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