山に登る
少し前から、山に登りたいな、と思っている。
山の雑誌をなんとなく読んでみたり、アウトドア・トレッキングのウェアを見てみたり。
体力に自信もないし、一緒に登る仲間のあてもないので、なかなか踏み切れずにいたのだけれど、
少しずつ山グッズを集めつつ、準備していたら冬になっていた。
ハイシーズンでもないし、雪道は危ないかもしれない。
とりあえず、低山なら大丈夫だろうと思い、一番近くの箕面山に登ってみることにした。
箕面の滝や勝尾寺などの観光地もあり、遊歩道が奥の方まで整備されている。
駅からすぐに山道に入り、人も多い。
最高地点でも350m。
なんとかなるだろうと思って、いざ地図をスマホで調べて出発。
これが、思った以上に、きつかった。
登山道と、一般の遊歩道は、ぜんぜん別物だった。
遊歩道から、道を外れて坂道を登り始めると、すぐに舗装は無くなり、木の根道になる。
ヒトともめったにすれ違わなくなり、代わりに鳥やサルが現れる。
地図を頼りに、道を進むけれど、思ったよりも通行者が少ないらしく、枯れ葉で道や分岐が隠れていて、かなり分かりづらくなっていた。
登りも思ったよりもきつい。初心者向けと思っていたけれど、どうやら高山を上る人も練習用に使うほど、しっかりした登山ができる山のようだと後に知る。
地図に書かれている道なんだから、しっかりしているだろうという素人考えはなかなか甘かった。初心者としてはおそるおそる進むのだけど、後ろを振り返ってみると、たしかに人が通れるような道になっている。
でも、道ではない木々のあいだと、人が通ることのできる木々の抜け道、
その違いがだんだん分かってくる。
脚の使い方、歩く速さ、服の着脱、そんなことも少しずつ覚えてくる。
耳を澄ますと、風の音、鳥の声がかすかに聞こえるだけ。とても静かだ。
サルに取られないように、さっとパンを食べる。汗が気持ちいい。
とりあえずのつもりで来たけれど、山登りの楽しさを少し味わえた気がする。
山の写真をもっと、撮ってみたいと思っている。
山からみた景色、山でしか出会えない景色、人の匂いのしない景色。
高い山でなくていいし、有名な山でなくてもいい。
そこにあるものを、そこに出かけて、記憶と記録に残す。
そんなことを、これからやってみたいと思う。
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