写真と本
写真を載せた日記をブログで書き続ける。
今では、当たり前になったこうした行為も、
2004年当時はまだ一般的ではなかった。
デジタル一眼レフも、ようやく少しずつ性能を上げて、使えるレベルになった頃だった。明るいレンズとの組み合わせで、家族の写真をありのままに毎日撮り続けた。
そうして毎日綴られた日記は、徐々に多くの人の目に留まるようになる。
ボケ味を生かした優しく柔らかい雰囲気の家族の写真。
添えられたクスッと笑ってしまうような一言。
広松木工の温かみのある家具。
すべてが一体となって、このしあわせな写真集を作っている。
「ダカフェ日記」は、ボケ味を生かした写真、
柔らかい写真を撮りたいという女性を中心に、その憧れの的になった。
同時に、その後のカメラの女子人気を牽引するきっかけにもなっている。
僕も、この写真に憑りつかれたうちの一人だ。
こんな写真を撮りたい、と思ってカメラとレンズを選んだ記憶がある。
明るいレンズは高いけれど、単焦点なら比較的安い。
そんなに、高価なレンズでなくても、日常の写真は撮れるのだ。
いつかダカフェ日記のように、毎日家族を撮りたい、子どもを撮りたいと思って、
その夢は叶った。
当時目指していた「柔らかい写真」。
それも、撮ることができるようになった。
自分の写真の原点のような本だけれど、
手もとに置くことなく、ずっとそのままになっていた。
いま、じっくり読んでみても、全然色あせていない、感動がある。
いつか、本を作りたいな、と思っている。
目いっぱい写真を載せて、自分の好きなものを紹介して、自分の好きなことを書く。
自分の興味の中から、どこかの誰かに何かの役に立つかもしれないもの、
直接でなくても、生きづらい世界の中で、手がかりやきっかけになるもの、
暗い気持ちになったときに、そっと小さな灯りを照らすようなもの。
『Perspective from an oblique』という雑誌を、近くの古本屋で購入した。
見ると、やはりすぐ近くに住んでいる人が仕事をしながら、自分の興味をつなげて作っていた。
姨捨の話から始まり、楢山節考、恍惚の人、そして『アラヤシキの住人』で話題になった共同学舎へと
福祉・介護の重いテーマを掲げながら、文学や本の面白さを忘れずに丁寧に構成している。
美しく、大胆な写真とともに、全く退屈させないぜいたくな厚みのある本だった。
こんなふうに本を作ってみたい。
こんな本に出会えたことが、もし原点になるのなら、
これから頑張ってみよう、と思った。
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