強くなりたい
強く、優しく、美しく
子ども向けのアニメはいつも前向きだ。
「強く、優しく、美しく」はひとつ前のプリキュアの決め台詞だ。
絶望と闘って、夢と希望を守る女の子たち。
だから、当たり前のように前向きで、素敵だ。娘も憧れる。
最終話までのストーリーの運びと結末は見事だ。ヒロインは、絶望と闘うなかで、向き合い、それを受け入れる。いつでも明るく元気でいられるわけじゃない。落ち込んで、泣きたくなって、どうにもならないことがたくさんある。
それは決してなくならないものだからこそ、向き合わなければならない。
ラスボスは倒さなかった。
何度でも現れる。何度でも向き合う。
そう言葉を交わして、平和が訪れる、という結末だった。
憎しみを繰り返すことで、争いは続く。武器を作れば人は死ぬ。
現実の人の弱さを、政治的にも社会的にも目の当たりにするなかで、虚構の世界だけは人の強さを教えてくれていた。
さて、一年の抱負を、と思ったものの、いまの自分にそんなものは何も思い浮かばなかった。
でも、生きようと思った。自分のために、というよりも家族に迷惑かけないために、に近いけれど。
「自分の体調管理は、私たちのためだと思ってやって」と妻に言われたことがある。
たしかに、そのほうがいい。自分のために、何かするのは苦手だし、今はもうやりたくない。
そのために、強くなりたい。
穏やかに、現実に向き合えるようなしなやかさがほしい。
真っ直ぐ、凛とした鳥の佇まい。ゆるやかに、ふわりと漂う海月。
娘と出掛けた動物園で見た生き物たちはそれぞれの強さを持って生きている。
それらにもっと、触れたい。近づきたい。
見ることができる。
読むことができる。
考えることができる。
写真を撮り、筆を執ることができる。
それは、いままでの日常と変わらない。
自分の持っているそんな強さをもっと伸ばしたい。
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